刑事事件の流れ
突然の出来事に戸惑い、弊社にご相談に来られる方がたくさんいらっしゃいます。刑事事件や保釈について、今はどの段階にいるのか、これからどのようになるのか、少しでも把握できていれば、担当弁護人と相談し、適切な対応ができると思います。事件の内容によって、期間などが多少異なることもありますが、ここでは、一般的な刑事事件の流れについて簡単にご説明します。
①拘留・・・逮捕されてから、約48時間の間に警察官により取り調べが行われます。
拘留とは、逮捕に引き続き、刑事手続き上で被疑者の身柄を拘束する強制処分です。(拘留されない場合は釈放される)拘留の期間は、1つの事件に対して10日間(刑事訴訟法第208条1項)です
ほとんどのケースは延長が必要と判断され、さらに10日間(刑事訴訟法第208条2項)まで、法律上認められています。検察官や警察官はこの間に捜査を行い、その結果に基づいて検察官が、起訴するか否かを判断します。以上より、逮捕から拘留を通じて起訴・不起訴まで、約22日間身柄が拘束されるのが通常のケースです。
②起訴・・・検察官は、拘留期間が満了するまでに警察での捜査の状況を見て、裁判官に対して公訴の提起を求める必要があるかどうかを決定します。公訴提起しない場合、被疑者は釈放されます。
起訴されると、以後裁判所による審理がなされます。起訴された後は、原則として被疑者自身がこの事件で警察や検察庁で取り調べを受けることはありませんので保釈申請ができます。尚、日本では未だ起訴前の保釈は認められていません。
③保釈申請・・・起訴された直後から保釈申請をすることができます。国選及び私選の弁護人が決まってから、勾留されている被告人又はその家族から被告人の担当弁護人に保釈の意思を伝え、手続きを進めてもらうのが一般的です。担当弁護人へ事件の状況を確認し、保釈の可能性があるか、保釈保証金はいくら位になるのか、また判決が出るまでにどのくらいの期間がかかるのかをご確認ください。弁護人が決まっていない場合や国選弁護人の選任を待っている間にどうしても保釈申請をしたいという方は、被告人の家族であれば、弁護人を通さずに保釈申請ができるようです。手続きには、書類を提出したり、裁判官との面接があるようです。詳しくは、裁判所にお尋ね下さい。
④保釈・・・保釈保証金を納付して未決勾留中の被告人を釈放する手続きのことを言います。
起訴された被告人の意思に基づき保釈を申請し、保釈が認められると、公判日に裁判所に出廷するだけで、後は判決までの間、身元引受人の元で生活することができます。
保釈には条件があり、逃亡や証拠隠滅がないと裁判所が判断した場合、保釈金を納めることによって保釈許可決定が下されます。金額は事件の内容等によって異なります。
○保釈保証金(保釈金)○
保釈時に裁判所へ納付する保釈保証金は、寄付でも罰金でもないので、保釈許可決定に記載のある条件を守って生活していれば、判決が確定した後、全額戻ってきます。
保証金の金額は、犯罪の性質、情状、証拠の証明力、被告人の性格・資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額が定められます。(刑事訴訟法第93条)
保釈には、権利保釈と裁量的保釈の2種類あります。
権利保釈(刑事訴訟法第89条)といって、裁判所は保釈請求があれば必ず保釈を許さなければならない制度があります。但し、以下の事由がない場合に限ります。
1. 被告人が死刑又は無期若しくは短期1年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき
2. 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期10年を越える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けた事があるとき
3. 被告人が常習として長期3年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき
4. 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
5. 被告人が被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき
6. 被告人の氏名又は住居が判らないとき
上記の事由があっても、裁量的保釈(刑事訴訟法第90条)といって、裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができます。保釈金の納付後に被告人は釈放されます
○保釈の条件○(刑事訴訟法第93条)
1. 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない
2. 保釈金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない
3. 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限し、その他適当と認める条件を附することができる
※その他適当と認める条件として、ほとんどの裁判所が次のような条件を保釈許可に付けます。事件内容によっては、これ以上の条件がつく事もあります。
★ 居住場所の指定(決められた住所以外の場所に居住してはならない)
★ 召喚された場合には必ず出頭する(公判、判決等)
★ 逃亡したり、罪証隠滅と思われるようなことはしない
★ 海外旅行や3日以上の旅行をする場合には、予め裁判所に許可を得る
これらの条件に違反した場合には、直ちに保釈許可は取り消され、即時に身柄を拘束されます。また、当然ながら保釈保証金は没取されます。それだけでなく、保釈条件に違反したという事は、裁判においても大きな影響を持ち、本来ならば執行猶予がつく事案であっても、実刑が宣告されてしまう危険もあります。
●保釈の取り消し・保釈保証金没取●
刑事訴訟法第96条 保釈、勾留の執行停止の取り消し
以下のような事があった場合は、保釈は取り消され、保釈金は戻ってきません。
1項 裁判所は、下記の各号の一にあたる場合には、検察官請求により、又は職権で、決定を以って保釈又は勾留の執行停止を取り消す事ができる。
1. 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき
2. 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき
3. 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき
4. 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき
5. 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき
6. 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる
保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき又は逃亡したときは検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
⑤控訴・上告・・・第一審裁判所の判決に不服のある当事者は、判決送達日から2週間以内に上級裁判所に対して控訴をすることができ、第二審(控訴審)裁判所の判決に不服のある当事者は、上告をすることができます。控訴及び上告については、次の点が特徴として挙げられます。
◆控訴については、原判決に不服がある当事者は、常に提起することができます
◆控訴審では、裁判所は第一審と同様の方法により、事実認定を行います
◆控訴審は、第一審裁判所の判決に対する当事者の不服の限度で、事実と法律の適用を再度審査します。
上告審は、法律問題に関する審理を行い、上告審の裁判所は、原則として原判決で認定された事実に拘束されます。
(裁判所HP「判決に対する上訴―控訴と上告」より)
⑥控訴保釈・・・第一審の裁判中に保釈になっており、判決が実刑となった場合は、判決直後に裁判所で身柄を拘束され拘置所に勾留されます。しかし、控訴保釈申請が許可されれば、高裁判決まで保釈されます。控訴しない場合は、拘置所または拘置支所から通常の流れとなります
ここでは、一般的な刑事事件の流れについてご説明しましたが、事件内容等によって異なる部分もありますので、詳しくは担当の弁護士にお尋ねください。
